トヨタ自動車では、トヨタ車を販売する全国の販売店を、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店と4つのチャネル分けを行っており、それぞれの販売チャネルでしか購入できない車があるなど、ユーザー視線からすると分かりにくい状態だったが、これを解消し、全チャネルで、2020年5月より全車種を販売する事となった。
トヨタの販売を支えるのは、各地域の地場資本である。
トヨタ車を購入できるお店(ディーラー)は、トヨタ自動車が直接販売しているのではなく、各地域の地場資本と連携した販売活動を行なっており、チャンネル分けがあった事で、地場資本としては、ユーザーの争奪戦がより一層厳しくなる状態になるだろう。
とは言え、親方であるトヨタ自動車が、自動車製造業務から、モビリティカンパニーへと変革を進めるにあたっては、自動車を軸にした販売スタイルを解消する事で、既存の自動車製造業としてのイメージを少なくしつつ、モビリティカンパニーとして、人類の移動をサポートする会社に舵きりを実行する上で、販売店の垣根を取り払う事は必須とも言える。
トヨタが展開していた4つの販売チャネルとは?
今までは、「アルベル」と言われる、トヨタの人気ワンボックスカーである、アルファード、ベルファイアは、販売チャンネルが異なり、前者がトヨペット、後者がネッツと、同じ様な車にも関わらず、購入先が違った事で、ユーザー視線からすればよくわからない棲み分けであったのも事実です。自動車情報に詳しい方は、トヨタの4チャンネルの存在を知っていると思いますが、知らない方に向けて簡単に4チャンネルを紹介したいと思います。
トヨタ店
戦前戦後にかけてトヨタの発展を支え、約70年以上の歴史を持つトヨタ車販売のパイオニア的なチャネル。歴史と伝統に裏打ちされた上質なおもてなしを展開している販売チャネル。
トヨペット店
1953年に設立されたトヨタで2番目のチャネル。コロナやマークⅡを中心に時代を切り拓き、常に日本のミディアムカー市場をリードしている販売チャネル。
カローラ店
1961年にパブリカを扱うパブリカ店として営業を開始し、その後1969年、カローラ店に名称を変更。ロングセラーを続けるカローラをはじめ、豊富な品揃えの量販チャネル。
ネッツ店
2004年にネッツ・ビスタ両チャネルが融合し、新しい「ネッツ店」が誕生。ヴィッツ等のコンパクト車種や、ヴォクシー・ヴェルファイア等のミニバン車種などをラインナップし、トヨタの新しいお客様層を拡げていくチャネル。
引用元:https://toyota.jp/service/dealer/spt/top
全車種全チャネル販売は、モビリティカンパニーへの一歩
今回の全車種全チャネル販売を実施するにあたっては、2018年11月にモビリティカンパニーへ向けた取り組みとして、全販売店全車種併売化を実施することが発表されており、この取り組みが現実の物になったと言えます。
近年のトヨタ自動車は、既存の自動車製造販売のみならず、サブスクリプション・カーシェアリングサービスを提供するKINTOや、ロボットやAI技術を活用した実験都市、ウーブンシティの開発を行うなど、世界中の自動車メーカーよりも時代の先を見据えており、時代の転換期に差し掛かった現在において、もっともチャレンジングなグローバルカンパニーへと更なる進化を進めている。
日本を代表するグローバルカンパニーのトヨタ自動車には、これを軸に世界のイニシアチブをとり、強い日本への後押しとなって欲しいと願っている。